ポルナレフがマレーナに恋心のような気持ちを抱いた理由を考察してみた

ジョジョコラム

ジョジョの奇妙な冒険3部に登場したマレーナ。アニメ版で名前が判明した人物で、アレッシー戦でポルナレフが手を差し伸べられています。

戦闘終了後にマレーナに話しかけられるも、多くを語ることなく、別れを選んだポルナレフでしたが、マレーナにはどのような感情を抱いていたのでしょうか。考察してみました。


1. ポルナレフがマレーナに抱いた思い

まずはポルナレフがマレーナに抱いた思いについて、考察してみます。注目したいのは、アレッシー戦後にマレーナの姿を見たシーンです。


荒木飛呂彦(1991年)『ジョジョの奇妙な冒険』22巻 集英社(165-166頁)

なんだか嬉しそうなポルナレフ…!顔を赤面させるだけで自ら声をかけることもなく、ナンパにいそしんでいる時とはまるで態度が違います。その理由は、マレーナが元の姿に戻っており、安堵した気持ちがあったからではないでしょうか。「体は戻っただろうか」と心配した相手が、無事だったんだもんね~!

そして赤面しているところを見るに、「無事で良かった」以上の感情が混ざっているよう…それが恋心に近いものであることは、この後の承太郎への「何も言うなよ」の台詞などからも伺えます。

でもなぜこんなにも短時間で、深い思いを抱いてしまったのか。それはマレーナの純粋な優しさはもちろん、2人で経験したことも要因のひとつではないかな~と思います。例えばお風呂に入れてもらったシーンとか…


荒木飛呂彦(1991年)『ジョジョの奇妙な冒険』22巻 集英社(106-107頁)

レロレロとタメを張れる舌の動きよ…承太郎のかくし芸といい、3部のパーティーは口元が器用だな…

 抱きしめられたり、体を洗ってもらったりとウキウキなポルナレフ。ただ幸せや恥ずかしさは感じているものの、気分が良いと感じる理由は「子供だからわからない」ようです。

で、元に戻った時に、マレーナにしてもらったことを思い出したとしたら…幸福感の理由が素敵な女性との肌の触れ合いによるものであり、それを入浴を通じてするなんて、一般的には恋人同士がするような行為なのでは…?と気づくのではないでしょうか。人助けの一環だったとはいえ、そりゃ~~~照れるのはもちろん、多少の情が移ったり、気になる存在となっても不思議ではないはずです。

このようにポルナレフが短期間でマレーナに深い思いを抱いたのは、優しい性格のマレーナと恋人同士のような幸せな時間を過ごすことができたからではないでしょうか。でもこの人、マレーナ家の浴槽で「大人では恥ずかしくて出せないもの」を出してるんだよな~!まだお風呂場にあるかも…と思うと、ちょっと恥ずかしかったりして…

ポルナレフのマレーナへの恋心については、こちらでも考察しています~!

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2. ポルナレフの心を癒したマレーナ

次にポルナレフの人生や内面から、マレーナとの関係について考察してみます。マレーナの心優しき行動は、なぜここまでポルナレフの心に響いたのでしょうか。

ポルナレフに母親のような甘えや庇護を与えたマレーナ

まずはポルナレフと母親の死という点から考えてみます。ポルナレフは母親を早くに亡くしていることから、兄として妹の世話を焼くことも多かったと想像できそうです。でも本来ならば母親が死亡した当時は、まだ世話を焼いてもらう立場だったはず…だからポルナレフは、他人(特に母親)への甘えや庇護される経験が不足しているのではないかな~という気がします。

で、そんなポルナレフが幼くなり、モンキィドゥで遊んだり、シャンプーは嫌だと無邪気に甘えていた…というのは、子供時代に満足に経験できなかったおねだりや遊びを、マレーナにしてもらっていることにもなります。そりゃ~もう幸せな経験のはずで、マレーナに思わず心奪われるかもしれないよな~!特にポルナレフが母親を亡くした頃の年齢にされていたとすれば、なおさらです。

このようにポルナレフの人生から考えると、マレーナは子供時代にできなかった経験を補完してくれていたのではないでしょうか。だからこそ出会った時間は短くとも、心惹かれてしまったのかもしれません。なんだかちょっと泣ける…

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ポルナレフの心の癒しだったマレーナ

そしてポルナレフが妹の死後に辿ってきた人生からも考えてみます。唯一の家族である妹を亡くしたポルナレフは敵討ちに出発しましたが、その旅路ではきっと気を張り続けていたはず。そしてそれが終わると、今度は打倒DIOの旅に同行…と、んま〜〜〜休む暇のない人生なんですよね~!そんな時に女性に介抱してもらえたら…それは戦い続けた身には、オアシスのようにも感じられたのではないでしょうか。

しかもマレーナは何者かもわからない人間を自宅に招き入れ、ケガの治療を試みたザ・善意の人でした。そんな親切心と包容力は、ポルナレフの究極の癒しだったのかもしれません。なんせDIOに足元を見られ、エンヤ婆には騙され、妹は土人形で…と信頼に値する人間に出会うことの方がまれな旅だからな~…

このようにマレーナの言動は、ポルナレフの心を休めてくれるものだったのではないでしょうか。疲れた心身に優しく寄り添ってくれるなんて…ポルナレフでなくとも、思わず情が湧いてしまうのでは…!?

その一方でなかなかの外道だったアレッシーについての考察はこちらで…

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3. アレッシー戦後のポルナレフとマレーナの台詞の意味

最後にアレッシー戦後のポルナレフとマレーナの台詞を見てみます。マレーナとの再会と別れが描かれ、印象的な台詞が散見されましたが、そこにはどのような思いが隠されていたのでしょうか。

マレーナに向けたポルナレフの別れの台詞が描くもの

まずはポルナレフが別れ際に、マレーナに向けたこのセリフについて考えてみます。


荒木飛呂彦(1991年)『ジョジョの奇妙な冒険』22巻 集英社(168頁)

注目したいのは「会うはずがない」「はじめてきた場所」「出発しなくては」の部分です。

 まず「会うはずがない」「はじめてきた場所」は、「絶対に会っていない」というニュアンスです。「会うはずが~」だけではなく、「はじめてきた場所」とまで発言しているあたり、会っていないことを強調しているのが伺えます。

さらに「出発しなくては」は事実であるとともに、引き止められないようにするための口実でもあります。もしここで引き止められると、少年の正体が自分であると知られるのはもちろん、マレーナに特別な思いを抱いているポルナレフ自身が、次の町に進めなくなってしまうからではないでしょうか。積もる話もあるだろうし、本当はもう少し一緒にいたいよね~…それでも打倒DIOを果たすために、マレーナへの思いを振り切る台詞だったように思います。

ちょっと強めの言葉のチョイスですが、もちろんポルナレフは冷たくしたいのではない訳で…マレーナが自分を探しているとわかった時には、こんな態度も。


荒木飛呂彦(1991年)『ジョジョの奇妙な冒険』22巻 集英社(167頁)

これがシャッターボタンを押しまくりたかったのと同一人物の件。嘘だろ、ポルナレフ…

堂々と女の子に声をかける男が「こ…子供なんて」と言い淀みながら、逃げるように承太郎の元に行くのです。この場面ではまだマレーナに真実を言うべきか迷っているからこそ、ソワソワしているんじゃないかな…それが「会うはずがない」のコマになると、口調を変えて堂々と話し、赤面から戦う男の顔つきになるんですよね~!集中線まで描かれているあたり、ポルナレフの前に進むという強い意志が伺えます。

妹の敵討ちの後にでも偶然出会っていれば、きっとマレーナに感謝を伝え、話もはずんだのかもしれません。でもこのコマはポルナレフの中で、マレーナへの気持ちと打倒DIOを天秤にかけて、後者を選んだゆえの言動だったのではないでしょうか。

マレーナに心惹かれたポルナレフが、旅立ちを選ぶこのシーン。その台詞には、大事な仲間と共に旅を続けようと決意する男の選択が描かれていたのではないかな〜と思います。

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マレーナの「夢だったんだわ」の意味

次に別れを告げられたマレーナの「夢だったんだわ」の台詞の意味について、考察してみます。


荒木飛呂彦(1991年)『ジョジョの奇妙な冒険』22巻 集英社(168頁)

まず考えられるのは、「夢の中での出来事であり、ピアスはたまたま同じだったのでは」の意味です。こちらの場合、マレーナの台詞は文字通りの内容ということになります。

そしてもうひとつが、「少年とこの人はきっと同じ人物だろうけれど、現実的な説明もつかないし、彼は行ってしまう。これは忘れなくてはいけないことなのかも」というニュアンスです。ピアスや容姿から、マレーナはポルナレフと少年が同一人物であることを感づいています。でもポルナレフの態度に押し切られたのか、引き留めることをしませんでした。

その中で発した台詞は「話したいことはあるけれど、彼がなかったこととして振る舞うのなら行かせないといけないのかも」だけではなく、「忘れられない出来事だけど、忘れなくては」と半ば無理やり自分の思いを断ち切る意味も含まれているのではないでしょうか。恋心とはいかなくても、勇敢なポルナレフの人柄を知りたい!なんて気持ちがあったとすれば、なおさらです。

このように考えるとマレーナの台詞には、勇敢で優しかったポルナレフの意志を尊重しつつ、忘れようと自分に言い聞かせるニュアンスが感じ取れそうです。もしかしたらポルナレフだけではなく、マレーナにとってもちょっぴり切ないお話だったりして…意外と泣けるよ、アレッシー戦…!

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承太郎だから成立した!?ポルナレフとの男の会話

最後にポルナレフと承太郎の会話についてです。


荒木飛呂彦(1991年)『ジョジョの奇妙な冒険』22巻 集英社(169頁)

なんとも味わい深いシーン…!男の友情を感じられますが、こちらはポルナレフの話し相手が承太郎だったからこそ、読者が共感できるシーンになったのではないでしょうか。

というのも承太郎は散々モテる描写がされてきたキャラクターでした。あまりのモテ方ゆえに、高校生とはいえ恋の一つやニつ知っていてもおかしくなさそうにさえ見えます。そしてポルナレフも承太郎が男の恋心を理解できると思っていたからこそ、このような発言をしたのではないでしょうか。

そして台詞に注目してみると、「何も言うなよ」は「他人のフリをして別れたけれど、色々あってあの子に特別な思いを持っているのは、お前なら分かるだろ?「俺は旅のために前に進むぜ」のニュアンス、そして承太郎の肩を叩くだけの返答は「わかっているぜ」の気持ちはもちろん、旅路を優先してくれたことへの感謝も混じっているのかもしれません。一瞬でポルナレフの気持ちを読み取り、男らしい返事で無言で返すからこそ印象的なシーンなんだよな…!

もしこれがアヴドゥルや花京院など、恋愛描写のないキャラクターが相手であれば、このシーンは成立しないはずです。モテ男の承太郎だからこそ、恋心のわかる男同士の会話として、しっくりくるんですよね~!アレッシー戦の締めは、恋愛系の描写のある2人ゆえに、深みを感じられるのではないでしょうか。まあ「なにも言うなよ」「うむ(食い気味)」でも面白いけど。

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まとめ:ポルナレフはマレーナが恋人、母親のように振る舞ったからこそ深い思いを抱いたのかも

ポルナレフがマレーナに抱いた気持ちについて考察してみました。

短期間で恋心のような深い思いを抱いているようでしたが、それはマレーナの優しさが恋人のようでもあり、幼いポルナレフにとっては母親のようにも見えたからなのかもしれません。あとは共にピンチを乗り切ったという連帯感も生まれていたりとかね…!

しかし状況が状況とはいえ、あれだけ女の子に声をかけていたポルナレフが、赤面して押し黙っちゃうんだもんな~!恋心を持つと意外と慎重派だったりして…

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