マウンテン・ティムの元ネタは本当にカウボーイなのか考察してみた

ジョジョコラム
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ジョジョの奇妙な冒険7部こと「スティール・ボール・ラン」に登場したマウンテン・ティム。ワイオミングのカウボーイだった人物でした。

今回はマウンテン・ティムと実在のカウボーイを比較しながら、本当に元ネタだったのか考察しました。


1. マウンテン・ティムと元ネタのカウボーイの関係

まずは本物のカウボーイの実態と比較をしてみます。物語序盤で、マウンテン・ティムはこんな紹介がされていました。

ワイオミングのカウボーイ マウンテン・ティム 彼は毎年3千頭の牛を連れて 牧草地4,000kmの旅をする ルックスもイケメンだ
荒木飛呂彦(2004年)『STEEL BALL RUN』1巻 集英社

「イケメン」とかいう個人の感想。つい言いたくなっちゃうくらいイケメンだったんですかね…

でね、カウボーイとはテキサスなどの牧場で雇われ、野宿をしながらロングドライブ(牛の長距離移動)を行うのを生業としていた人々のこと。マウンテン・ティムも毎年長距離移動をしていたそうですが、これがんま~~~~大変らしくて。食事は単調、蛇やサソリに警戒し、水は汚染された川水や水たまりの水を飲むこともあったのだとか…でもそんな生活に慣れていたからこそ、過酷なレースにも参加できたのかもしれないよね。

さらにハードな移動と低賃金という不安定な職業のため、家庭を持つことができたカウボーイは多くなかったのだそう。そんな現状が伺えるのが、マウンテン・ティムの死に際の台詞でした。

ベッドの上で死ぬなんて期待してなかったさ…オレはカウボーイだからな 帰る所が欲しかっただけさ…………旅に出たら帰る場所がな…………

荒木飛呂彦(2006年)『STEEL BALL RUN』9巻 集英社

毎年4千キロを駆け抜ける非定住生活で、温かな家を持つことも難しい…そんなカウボーイの寂しさが伺えますよね~…

特に7部の舞台である1890年代は、鉄道の普及で短時間での大量の牛の移動が可能になり、カウボーイたちは職を失うようになった時代。マウンテン・ティムもその時代の波には抗えなかったはずですが、だからこそますます遠い夢になったであろう「帰る場所」に憧れていたんでしょうね~…切ない…

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2. マウンテン・ティムのルーシーへの恋心の元ネタはカウボーイなのか?

ここで気になるのがルーシーとの関係についてです。一目ぼれしたのか「あなたの夫になってあげられたら」と甘い言葉をささや、好意を断られた後もアドバイスを送ったり…死に際まで自分の保身よりもルーシーの安全を優先していました。

ここまで一途になれたのは、ルーシーが彼にとっての理想の女性だったからではないでしょうか。先述したとおり、カウボーイは結婚のご縁はもちろん、女性との友人関係も希薄な人が多かったそう。それでも結婚を熱望する人は相談所に斡旋してもらったりしたのだとか…!

かなり険しい道のりだったことが伺えますが、だからこそその身を犠牲するほど夫を大事にするルーシーは、自分には手の届かない温かく理想的な妻像に見えたのかもしれないよね。こんなのも本当に羨ましかったんだろうな~…


荒木飛呂彦(2004年)『STEEL BALL RUN』1巻 集英社

これは「帰る所」ですわ。約40歳年下にすがるおじちゃん。

たとえ好意を断られても、全カウボーイとして憧れるであろう、素敵な女性を守りたい…そんな純粋な気持ちで、最後までルーシーの手助けをしていたのではないでしょうか。めちゃくちゃ男気あふれていますよね~~~~~性格もルックスもイケメンだ。

ちなみに元ネタであろう曲名はドン・ギブソンの「オー・ロンサム・ミー(Oh Lonesome Me)」。こちらは両A面シングルとして発売された作品で、B面の曲名は「愛さずにはいられない(I Can't Stop Loving You)」なのも興味深いところ。スタンド名とマウンテン・ティムの生き様を表しているかのようでは…?

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マウンテン・ティムの甘い言葉の元ネタは創作上のカウボーイ!?

じゃあマウンテン・ティムの甘~~~~い言葉もカウボーイ独特の文化なの?というのも気になるところ。こちらはカウボーイが消えた後の1930年代以降に音楽や映画を通して創り上げられた、新たなカウボーイのイメージが強いんじゃないかな~…その先駆けがカントリー音楽だそう。

カウボーイのロマンティックなイメージは、1930年代にカントリー音楽奏者たちがカウボーイの衣装で歌った頃に始まっている。先駆けは、ラジオを通して流行歌手となり、後に西部劇映画で国民的な人気を得たロイ・ロジャーズ(Roy Rogers, 1911-98)である。彼は「カウボーイの王」(’King of the Cowobys’)と呼ばれた。「君といっしょにいれば、空が曇ってもかまわない。歌おうよ。太陽が出てくるから。君の行く道が楽しくありますように。また会える日まで」と甘くソフトに歌い、聴く人の心をとらえた。
荒木飛呂彦(2001年)『アメリカ文化史入門』6巻 集英社(71-72頁)

マウンテン・ティムを彷彿とさせる激甘な歌詞ですよね~!さらに西部劇映画ではカウボーイは「ワイルドで純粋な正義の味方」といったイメージのキャラクターとして定着。ルーシーにフラれてもなお手助けをした、マウンテン・ティムの純粋な優しさや正義と重なるところでは…?

つまりマウンテン・ティムのルーシーへの扱いは、実際のカウボーイが抱いたであろう家庭への憧れ、音楽や映画によるフィクションのイメージのハイブリッドだったのではないでしょうか。いいとこどりじゃんね~!

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3. マウンテン・ティムの外見とカウボーイの比較

最後にマウンテン・ティムとカウボーイの外見についてです。まずロープのスタンド能力だったのは、カウボーイが牛追いの際に角や後ろ足に引っ掛けるためにロープ(投げ縄)を使うからでしょうね~!ファッションはこんな感じ。


荒木飛呂彦(2004年)『STEEL BALL RUN』3巻 集英社

トラ柄とヒョウ柄の合わせ技。大阪のおばちゃんもびっくり!

この派手なトラ柄の帽子は、いわゆるカウボーイハット。高さのある山の部分は頭を冷やすため、広いつばは直射日光や雨雪を防いだり、木の枝などから顔を守る役割を果たすほか、水を運ぶ道具、消火用の団扇、枕の役割もあったのだとか…!手首につけているのは筒状の袖カバーで、投げ縄を使う時の擦り傷防止の道具。首に巻いているのはバンダナで、日焼け防止と埃っぽい場所でのマスクとして使ったそうです。

幅のあるズボンはオーバーズボンと呼ばれ、通常革で作られた丈夫なもの。植物のトゲ、雨、牛の角や馬の噛み傷などから身を守ることができます。ズボンに隠れたブーツは革製で、値段は半月の賃金ほど。先が細いのは、鐙の踏み外しを防いだり、地面にしっかりと足を食い込ませるためです。

歴史上のカウボーイのファッションと共通点が多いマウンテン・ティム。ちゃんと現実のカウボーイが元ネタだったんですね~!ただしカウボーイが通常つけていなかったのが、胸元に光る星のバッジ。こちらは保安官がつけるもので、マウンテン・ティムも保安官代理に任命された後から着用しています。カウボーイの印ではないのね…!

ということで、マウンテン・ティムの外見は、現実のカウボーイが投影されていたと言えるのではないでしょうか。ちなみに愛馬のゴーストライダー・イン・ザ・スカイはマスタングでしたが、1890年頃のカウボーイもムスタングをよく使っていたそうです。馬までちゃんとカウボーイ!

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まとめ:マウンテン・ティムは本当のカウボーイとフィクションのイメージが元ネタでは

マウンテン・ティムについて考察してみました。過酷な環境に生きたカウボーイらしさと、映画や音楽で作り上げられた正義や甘い恋愛模様が彼のイメージを作り上げていたのではないでしょうか。

またファッションも歴史上のカウボーイの様子が反映されてましたよね~!マウンテン・ティムという人物を掘り下げるだけで、カウボーイの歴史や生き様を学ぶことができるのではないでしょうか。おっと史実の元ネタで成り立ってるキャラがひとり登場〜〜〜!!! 勉強になります…!




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参考文献
亀井俊介(2006年)『アメリカ文化史入門 植民地時代から現代まで』昭和堂
鶴谷壽(1989年)『カウボーイの米国史』(朝日新聞出版) 
デヴィッド H. マードック(2007年)『カウボーイ事典』あすなろ書房
Chris Enss「Wild Women of the West: The Bride Business」COWGIRL https://www.cowgirlmagazine.com/wild-women-west/(2026年6月14日確認)

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