エルメェスはなぜ兄貴と呼ばれるのか理由を考察してみた

ジョジョコラム

ジョジョの奇妙な冒険6部に登場するエルメェス。徐倫の友人として、打倒プッチに力を尽くした人物でした。

ファンからは兄貴として慕われているエルメェスですが、なぜ「兄貴」と呼ばれるのでしょうか。理由を考察してみました。


1. エルメェスの外見と兄貴っぽさ

まずはエルメェスの外見から見る、兄貴っぽさについてです。ここでは徐倫、フー・ファイターズと比較して、兄貴と呼ばれる理由を考察してみます。

さて三種三様の外見をしていたエルメェスたちですが、まず徐倫を見てみると、胸元のみが隠れるクロップドタンクトップに、細身のパンツを着用しています。また髪型はお団子と三つ編みが組み合わされており、タトゥーは蝶と、かなり女性的な外見です。

フー・ファイターズはつなぎのような服装ですが、肩回りと腕が露出しています。色は髪色、服装共に明るいグリーン系やブルー系全体的に爽やかな印象です。

そしてエルメェスを見てみると…

荒木飛呂彦(2000年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』3巻 集英社(89頁)

いかついなあ。面構えがもう兄貴なんよ…

顔だけを見ると、髪型や髪飾りがクレオパトラっぽいエルメェス。結構な美人さんのはずなのですが、額と顎の線のせいで一気にごつい印象に…タトゥーなんだろうな、これ…

さらに服装を見てみると、上着はタンクトップでも首元の露出が少なく、色もくすんだ緑が基本色。髪色、パンツともに黒いせいなのか、フー・ファイターズのような爽やかさや、徐倫ほどの女性らしさがありません。全体的に強そうな印象ではないでしょうか。

そんなエルメェスも、服装が違うと大分女性的な印象になるんですよね~!


荒木飛呂彦(2000年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』3巻 集英社(85頁)

カワイイ………こ……好み…だ(億泰ボイスで)

ちょ~~~っと変わっただけなのに、可愛らしく見えますね~!この服装だったらせめて「姉貴」だったんじゃないかな~!やっぱり大事なのよ、外見の印象って…

このようにエルメェスは、他の女性キャラクターの外見と比べても、女性らしさが際立っているタイプではないようです。むしろかっこよさが強調されており、これが兄貴と呼ばれる一因となっているのではないでしょうか。

あとアニメの声で、ますます兄貴感が出ましたよね…田村睦心さんがドンピシャすぎるよな~!

徐倫の服装については、こちらで考察しています~!

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2. エルメェスの兄貴っぽい言動

次にエルメェスの言動について見ていきます。その言動のかっこよさに定評のあるエルメェスですが、どのような点から兄貴と呼ばれるようになったのでしょうか。

1話から明確だったエルメェスの兄貴的な立ち位置

まずエルメェスが、兄貴的なポジションであることが明確になったタイミングを考えてみます。それが感じ取れるのは、恐らく1話ではないでしょうか。例えばこのシーン。


荒木飛呂彦(2000年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』1巻 集英社(34頁)

エルメェスの面倒見の良さはもちろんですが、注目したいのは言葉遣い。徐倫が「~よ」と話すのに対し、エルメェスの語尾は「~だ」「オメーな」なんて台詞からも、男勝りな性格であることが伺えます。つまりエルメェスは初登場直後から、読者にいかついイメージを与えていたようです。

さらにこの後も「しょうがねーなぁ」「~スよ」といった口調が続き、ますます男前な印象に…このようにエルメェスは1話目から行動や言葉遣いが力強く、兄貴っぽさが明確に表れていたのではないでしょうか。

ジョジョでの言葉遣いについては、こちらもどうぞ~!

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エルメェスの兄貴らしい面倒見の良さ

次にエルメェスの面倒見の良さについてです。兄貴肌といえば親身になってくれる人物が多いですが、エルメェスもそのひとり。初めて収監される徐倫に現金の重要性を教えたり、マックイイーンを助けようとしたりしていました。

そしてその面倒見の良さが強調されていたのが、アニメ版の脱獄シーンです。「神父を追う覚悟が出来ている」という徐倫に対し、「私も連れて行きな」という台詞が追加されました。「連れて行ってくれ」ではなく「連れて行きな」と言う辺り、「必ずお前の力になってやる」という意志すら感じられるのではないでしょうか。

また脱獄の理由ですが、復讐を終えたエルメェスが刑務所に居続ける必要はないので、脱獄自体は理に適っています。ただ徐倫の覚悟を聞いて脱獄を決めたところを見るに、徐倫たちとの友情や、一度関わったなら最後まで的な気持ちがあるんでしょうね~!やっぱり面倒見がいいんだよな…

エルメェスの復讐については、こちらをどうぞ~!

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ところで面倒見という点では、徐倫にもその一面はありました。

荒木飛呂彦(2002年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』14巻 集英社(11頁)

エンポリオに特に優しいのですが、徐倫が親分肌に見えないのは、母親のような慈愛に満ちた言動が多かったからではないでしょうか。一方のエルメェスは、困っている人を助けようとする面倒見の良さ。だから相対的にもより兄貴感が生まれていたのかもしれません。

このようにエルメェスの面倒見の良さが兄貴っぽいのは、人助けや友人を見捨てない義理堅さによるものと考えられそうです。それは徐倫のように包み込むような優しさとは一味違い、より親分肌的だからこそ兄貴と呼ばれているのではないでしょうか。

徐倫の優しさについてはこちらもどうぞ~!

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エルメェスの兄貴っぽい下ネタ話

そしてエルメェスの下ネタについても見てみます。エルメェスと下ネタの話と言えば、徐倫のマ…の件で盛り上がっていた様子が思い浮かびますが、徐倫にはこんなことを聞いていました。


荒木飛呂彦(2000年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』1巻 集英社(14頁)

そこはいいだろ。なぜかパンティのおろし具合が気になる兄貴。

徐倫もちょっとちょっと~!とツッコんでいましたが、同じ女性として慰めてあげよう…というより、もはやただの興味津々の人なんですよね~!殺伐とした留置所の中で面白いネタが飛んできたので、中学生男子的なノリが出てしまっているように見えます。

これだけでもなんだかメンズライクな気もしますが、さらに落ち込む徐倫を責める女囚に対してはこれ。


荒木飛呂彦(2000年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』1巻 集英社(15頁)

ドヤし方が男前すぎる。ハナくそって…

でもエルメェスは徐倫が見られたミスを面白がっているのであって、鉄格子でドキドキするのは人の勝手だろ~!という感覚なのではないかな~と思います。人間性欲が湧くのは当たり前だし、そこは茶化すところではない、ということなんだろうな…実は出来た人なんだよな~!

デリケートな話でも最低限の節度を持って楽しんでいたエルメェス。こんな明るく優しく下ネタにブッ込んでくる様子も、兄貴たる所以なのかもしれません。

3. なぜポルナレフではなくエルメェスが三大兄貴なのか

最後にプロシュート、虹村形兆とともに「ジョジョ三大兄貴」と呼ばれているのが、ポルナレフではなくエルメェスである理由を考えてみます。荒木先生が「エルメェスはポルナレフ的なポジションで描いた」とコメントしている通り、どこか近い匂いのするこの2人。今回は両者を比べながら、その理由を探ってみました。

徐倫を見守るエルメェスと仲間と対等なポルナレフ

まずはエルメェスとポルナレフの、パーティ内での立ち位置を見ていきます。

エルメェスは徐倫の友人であると同時に、成長を見守るポジションでもありました。それがよく分かるのがこの台詞です。


荒木飛呂彦(2002年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』13巻 集英社(169頁)

ここから察するに、エルメェスは初対面時の徐倫をどこか幼く感じていたはずです。徐倫が良き友人でありつつ、どこか放っておけない存在だったからこそ、エルメェスが親切にしたりと、親分肌な一面が際立っていたのかもしれません。

一方でポルナレフが活躍した3部では、キャラクターの成長の描写は多くはありません。ポルナレフが誰かを見守ることもなく、年齢はバラバラでも全員が対等な関係で接していました。つまりポルナレフは承太郎たちの良き仲間として描写されたからこそ、兄貴らしさが感じられにくいのではないでしょうか。

このようにエルメェスとポルナレフの兄貴らしさの差は、周りの人間によるところも大きいと言えそうです。もしポルナレフが徐倫とパーティを組んでいたら、もっと兄貴っぽさが出ていたりして…

3部の仲間の話については、こちらもどうぞ~!

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ポルナレフとエルメェスのギャグシーンの違い

次にポルナレフとエルメェスのギャグシーンを比較してみます。まずエルメェスで印象深かったのは、やっぱりこちら。


荒木飛呂彦(2000年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』3巻 集英社(157頁)

兄貴のおパンティー事件。マックイイーンの顔がまたなんとも…

ギャグが少ない6部の中でも、ひと際目立っていたこのシーン。でもエルメェスは、マックイイーンを救うために下着をあげようとしていた訳で…笑いを取ろうとしたというより、人を助けるための行動だったんですよね~!あの性格でパンティーなんて言い出すからギャグになってしまった訳ですが、エルメェスとしては「下着でも何でもいいからとにかく助けなきゃ!」の一心だったんだろうな…自衛も含めてとはいえ、やっぱり兄貴は優しいぜ…!

一方のポルナレフは、純粋なギャグシーンが多い人物でした。


荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』15巻 集英社(152頁)

このコマだけで面白い奇跡。なおトイレの災難はこの後も続く模様。

他にもピシガシグッグッにポルナレフランド、マレーナにウキウキ…など、とにかくギャグシーンに絡んでくるんですよね~!

ポルナレフだって真面目に戦っていたり、人助けをしているつもりがギャグになっていた時もありました。ホル・ホースとの再戦の変顔とかエンヤ婆への「息子と思ってくれ」発言とかね…それでもあまりに純粋なギャグの数が多すぎるんだよな~!明るいし前のめりだから、ギャグ要員に使いやすいんでしょうね…

このように2人を比較してみると、ポルナレフは性格的な部分から純粋なギャグが数多く生まれていたのに対し、エルメェスは優しさが結果的にギャグになってしまった…というように見えます。だからこそエルメェスの方が、ギャグシーンでも親分肌がより見え隠れしているのではないでしょうか。

ポルナレフがエンヤ婆に優しい話は、こちらでも触れています~!

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肉体的にも精神的にも強いポルナレフとエルメェス

最後にエルメェスとポルナレフの強さについてです。兄貴と言われるには大事なポイントですが、ここではポルナレフと比較して、エルメェスの強さを見ていきます。

まずポルナレフは、散々敵から襲撃されたり、考えるよりも体が先に動いてしまったりと、頭脳派というより肉体派のイメージが強いキャラクターでした。DIO戦前にも、ジョセフの意見に反してDIOを襲撃しようとしていたしな…

また精神的にも強く、簡単にはへこたれるタイプではありません。肉の芽を植えつけられても騎士道精神は持ち合わせており、全体的に非常にタフでした。

ポルナレフのタフさについては、こちらでも触れています~!

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一方のエルメェスも肉体的、精神的な強さが伺えるシーンがチラホラ…例えばC-MOON戦では、重力で落下したにも関わらず、アナスイに「死んでいないなら戻ってくるやつ」なんて言われていました。あそこから戻れるなんて、やっぱり兄貴ィはスゲーや…

そして気になったのが、プッチ戦でのこれ。


荒木飛呂彦(2001年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』6巻 集英社(50頁)

誰か声かけてあげて???兄貴、だいぶ重傷やんけ…

時の加速をまだ理解できず、全員が思わず絶句してしまった訳ですが、エルメェスは頭からも出血しているんですよね~…しかもこの直前には自動ドアに挟まれていました。もし徐倫やエンポリオが同じ目に遭っていたら、大丈夫か!?の一言くらい飛んできそうだけどな…

そしてそんな負傷にも負けず、プッチには全力で挑んでいるのが、エルメェスのポルナレフばりのタフさなんだよな~!やっぱり強いよ、この人…!

このようなシーンを見るに、エルメェスは女性とはいえ、多少の怪我や悪条件にはへこたれないキャラクターとして描かれているようです。男性キャラクターに負けず劣らずの肉体的、精神的タフさが垣間見えますが、だからこそ女性でも思わず「兄貴!」と呼びたくなるのであり、ポルナレフを抑えて「三大兄貴」とされているのではないでしょうか。

まとめ:エルメェスは外見、性格ともに男性に劣らない兄貴らしさを持っていた

エルメェスが兄貴と呼ばれる理由を考察してみました。

面倒見の良さが目立っていましたが、エルメェスはその外見や言葉遣いも兄貴と呼ばれる理由となっていたようです。優しく、時に勇ましく大胆な様子は、他の女性キャラクターと比較しても男らしさが強調されるものだったのかもしれません。

ファンの間では「ジョジョ三大兄貴」とされる、プロシュートや形兆と並んでも遜色のないエルメェス。真の兄貴であるポルナレフを差し置いても兄貴扱いされていますが、まあキャラクター的にもかぶっているもんな~!それならばより親分肌が際立つエルメェスに軍配が上がるのかもしれません…なんかわかる…

 

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