ジョジョの奇妙な冒険4部に登場した、東方仗助と岸辺露伴。何かと折り合いが悪く、作中では険悪なムードが漂うことも…
しかしこの2人は本当に「仲が悪い」のでしょうか。今回は仗助と露伴の仲の悪さと関係性について、検証してみました。
1. なぜ仗助と露伴は「仲が悪い」と明言されたのか
まずは仗助と露伴の仲の悪さの理由を探ってみます。作中でもお互い嫌いあっている様子が伺えた2人ですが、なぜそんなに仲が悪いのでしょうか。検証してみます。
仗助と露伴のファーストコンタクトが悪すぎる
まずは仗助と露伴のファーストコンタクトについて見てみます。露伴の家に康一くんを助けに来たのが2人の初対面でしたが、んま~~~これが最悪の出会い方だった訳で…
露伴サイドから見てみると、自分のファンでもないセンスの悪い人間にタコ殴りにされた上に、休載を強いられました。そして仗助サイドから見れば、友人が危ない目に合わせられ、自分も攻撃されただけではなく、髪型まで馬鹿にされることに…
…
………
こんなファーストコンタクトある???地獄じゃ…
そりゃ~~~好きになれないよね~と言いたくなるような出会いでした。露伴的には「貴重な体験をした」なんて言っていたので、結果オーライな部分はあるのかもしれません…でも露伴先生が調子に乗り過ぎたのが良くないんだよな…
とは言え、決していい印象が残る訳がないこの出会い。ここから挽回するには難易度が高すぎる初対面だったのではないでしょうか。
俺様体質の露伴と思い通りにならない仗助
次に露伴の性格と仗助の行動について、考えてみます。
プロフィールにも「自分以上の人間はいないと思っている」なんて書かれている通り、自分が1番の露伴先生。その辺りの性格が相手を思い通りに出来るスタンド能力にも表れています。
しかしそのヘブンズ・ドアーは仗助に効きませんでした。そしてハイウェイスター戦では、露伴が「逃げろ」と忠告したもののこれ…
荒木飛呂彦(1995年)『ジョジョの奇妙な冒険』41巻 集英社(137頁)
ノリノリで来ちゃった。全然話聞いてくれない…
露伴も思わず「僕の考えたことと逆のことをするから嫌い」と言っていましたが、そりゃ~俺様人間からすれば、思い通りにならない腹立たしさがあるはずです。
想像を超える行動を起こし、制御できない仗助…だから露伴の性格的にはフラストレーションが溜まるし、イマイチ好きになれないのかもしれません。
露伴先生の俺様気質な話についてはこちらもどうぞ~!
仲の悪さを決定的にした仗助と露伴のチンチロリン
そしてお互いに嫌な思いをさせてきたフシのある露伴と仗助ですが、それが顕著に出たのがチンチロリン事件でした。この一件の何が良くなかったのかをあらためて考えてみます。
まず露伴は仗助のチンチロリンの勝負にのった理由を、挑発的に説明していました。
荒木飛呂彦(1995年)『ジョジョの奇妙な冒険』41巻 集英社(21頁)
プレップレップレップレップレップレッシャアーッ!さすがの仗助も跳ね返せないだろうな…
これだけなら仗助が怪しすぎたからね…と言えるのですが、次の日にバスの中で仗助に会うと「高級家具が焼けたがちっとも気にしてない」と言った挙句、無理やり目の前の席に座らせたり…とにかく相手に圧力をかけてくるんですよね~…仗助も嫌がっていましたが、こんなの誰でも怖いわ!
一方の仗助は、サイコロに小細工をした上で露伴にチンチロリンを申し込みます。ちょっとした悪戯心から生まれた行動でしたが、クリーンな行為ではありません。しかも金を持っていることを理由に嫌いな相手をだまそうとしている辺り、もうね…黄金の精神とは…
それも露伴に「サイコロが怪しい」なんて見抜かれてしまう辺り、ツメも甘いんですよね~!露伴の方が1枚上手になってしまうので、居心地も悪いはず。まあ自業自得なんだけど。
ただですら初対面が良くなかった2人ですが、その後もお互いに関係を悪化させる言動をしていた2人。元の原因は仗助にありますが、露伴先生もかなりキレてますね~!通りで仲が悪い訳だ…
2. ハイウェイスター戦から考える仗助と露伴の関係
次に仗助と露伴はお互いをどのように思っているのか、少し考えてみます。初対面からいい印象を残さなかった2人ですが、果たしてどのような感情を持っているのでしょうか。ハイウェイスター戦での言動を通して考察してみます。
相手の不幸を願っている訳ではない仗助と露伴
まず互いに嫌いあっている仗助と露伴ですが、その「嫌い」の具体的な意味を考えてみます。
2人の場合は「嫌い」と言っても反りが合わないだけで、相手の不幸を願っているのではありません。むしろ危ないことには巻き込みたくないと思っているようです。
だからこそハイウェイスター戦では、仗助は露伴を助けに来たし、露伴はそんな仗助にプンスカしていたんですよね~
荒木飛呂彦(1995年)『ジョジョの奇妙な冒険』41巻 集英社(21頁)
本当に恨むほど嫌いなら、露伴を放っておくなり、仗助を差し出すなりするもんね~!
このシーンに限らず、仗助も露伴も周りの人に被害が及ぶのを嫌うタイプでした。仗助はエニグマ戦で巻き添えを受けたことにに怒っていたり、露伴もジャンケン小僧が透明の赤ちゃんを巻き込もうとした時には、こんな発言をしていたり。
荒木飛呂彦(1995年)『ジョジョの奇妙な冒険』40巻 集英社(129頁)
※これが康一くんを散々巻き込んできた人間の台詞です。康一くんは関係ないだろ放すんだ
とにかくそんな2人だから、仲が悪くても相手の心配はするのです。慣れ合うこともないし好きでもないけれど、人の心は持って接する。仗助と露伴はそんなドライな間柄なのではないでしょうか。
仗助は露伴と仲良くしたい!?
次に仗助が露伴との仲を深めたがっていたシーンについて、考察してみます。ハイウェイスター戦終了後の一場面ですが、こんなことが書かれていました。
荒木飛呂彦(1995年)『ジョジョの奇妙な冒険』41巻 集英社(21頁)
康一くん平和だな~!そういうとこ好きよ…
それはいいとして、仗助は「熱い友情を期待」していたのに露伴に反したことで、仲良くはなれなかったとのこと。残念…そしてアニメ版では、このシーンにオリジナルの台詞が加わっていました。
露伴「東方…仗助…」
仗助「あ、あのよー露伴先生…色々あったけど俺は…その…」
露伴「なぜ僕を治した?」
仗助「えっ?」
露伴「余計なマネを!貴様に助けられるくらいなら、死んだ方がマシだ!」
仗助「んんぬぅ…」
露伴「大体逃げろと言ったのに、みすみす敵の罠に踏み込んでくるとは。この大馬鹿が!」
仗助「んぬああっ!」
露伴「言っとくが、貸し借りはなしだからな!」
ナレーション「仗助とはやっぱり仲が悪い」ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない: ハイウェイ・スター その2 . TOKYO MX, 2016-10-15.(テレビ番組)
治しても助けても怒られる仗助くん。あんなに頑張ったのに…どんまい…
アニメ版では、仲直りのために仗助から一歩踏み出す様子が伺えますが、そのきっかけとなったのは恐らくこの一コマです。
荒木飛呂彦(1995年)『ジョジョの奇妙な冒険』40巻 集英社(143頁)
家を燃やしてしまうことになった上に、バスで圧をかけてきた露伴が自分を助けてくれる。仗助としてはその男気にグッと来たんでしょうね~!
自分のことを大嫌いなはずの相手が、必死で庇おうとしてくれる。そんな露伴の一面に触れたからこそ、仗助には仲を改善したいという希望や期待が生まれたのかもしれません。
露伴は本気で仗助に怒っていたのか
今度は同じシーンを露伴サイドから見てみます。仗助に怒っていた露伴先生ですが、本気で怒っていたのでしょうか。
これね~多分マジギレはしてないんじゃないかな~!というのは露伴先生は素直になれないタイプじゃないですか…鈴美ちゃんとの別れとかね…
荒木飛呂彦(1996年)『ジョジョの奇妙な冒険』47巻 集英社(53頁)
康一くんに迫られて「本当は寂しいよ!」なんて暴露していましたが、露伴は基本的に意地でも自分の優位性を見せつけたいタイプなんですよね~!
だから仗助に治してもらった時だって、本来なら「ありがとう」と言うべきところが「治されるなんて屈辱」なんて台詞になっちゃうんだろうな…も~へそ曲がりなんだから~!
そして「敵の罠に踏み込んでくるとは~」なんて怒っていましたが、確かに露伴は仗助を止めていたので怒る理由はあります。でも露伴の命があるのは、仗助が必死にハイウェイスターと戦ったため。だから危ないじゃないか!という点でプンスカしていても、仗助の行動すべてに本気で怒ってはいないはず。本当にマジギレしたら精神的に殺しに来るタイプだし…
と考えると露伴の性格が邪魔したこともあり、関係改善とはいきませんでしたが、本当は仗助に感謝の気持ちくらいはあったのかもしれません。
「仲が悪い」という台詞で締められている以上、2人は仲良くはありません。でもお互いのために必死になったことで、多少の改善の兆しが見えたのが、ハイウェイスター戦なのではないでしょうか。まあ出来なかったんだけどね…
3. 「類似性の法則」と「相補性の法則」から仗助と露伴の先行きを考える
最後に「類似性の法則」と「相補性の法則」から、仗助と露伴の今後の関係について考えてみます。花京院とポルナレフの仲について検証した時に、意外と有効な方法かも…と思ったので、今回もこの方式を使ってみました。
類似性の法則
まずは「類似性の法則」についてです。類似性の法則とは、自分と似たものを持っている相手に好感を抱くこと。出身地や趣味などの共通点があると相手との距離が縮まるのは、類似性の法則が働いているからなのだそうです。
さて仗助と露伴の共通点といえば、まずは出身地。露伴は杜王町出身と明言されており、仗助も幼少期には杜王町にいたので、出身地と呼んで良さそうです。そして2人とも地元愛があるのか、露伴は杜王町に戻って来た上に「スガスガしい環境」と評価しており、仗助は「この町とおふくろを守る」と正義感を感じさせる宣言もありました。
正義感といえば、仗助はジョースターの血筋らしく、エニグマ戦での康一くんのために犠牲になろうとするなど、他人のために身を粉にする姿が見られます。そして露伴は鈴美に事件解明の依頼を受けた後、一人で駅の利用者の写真を撮るなど、事件解決のために一生懸命動いていました。この辺りも2人の共通点なのかもしれません。
町の平和を願い、悪事を見過ごせない性格を持っていそうな仗助と露伴。互いに良い関係ではなくとも黄金の精神に通ずる共通点がある以上、悪事には共闘できるくらいのポテンシャルは秘めているのではないかな~と思います。
仗助の正義感についてはこちらもどうぞ~!
相補性の法則
次に「相補性の法則」について考えてみます。相補性の法則とは、自分が持っていないものを持っている相手に好感を抱くこと。内向的な人が外交的な人に、細身の人がガタイの良い人に好意を抱くことがあるのは、この法則が理由なのだとか。
この法則を基に性格的な面を見てみると、まず露伴はマンガに全てをかけており、お金よりも「読んでもらう」ことを大切にしています。さらに人間関係についてはこんな発言も…
荒木飛呂彦(1993年)『ジョジョの奇妙な冒険』34巻 集英社(120頁)
初期露伴先生はオールバックなんだな…
こんな台詞から察するに、露伴は金より漫画のストイックさを持つ、内向的な性格だと言えそうです。
一方仗助にとって、お金はかなり大事な要素。重ちーとの一件など何かとお金を欲しがるシーンの多い人物でした。お父ちゃんからも抜き取ってたし…
荒木飛呂彦(1996年)『ジョジョの奇妙な冒険』47巻 集英社(63頁)
これクレカ止めるの大変だったろうな~(要らぬ心配)
また億泰をはじめ、康一くんやジョセフなど人といる描写の多さからも外交的さが伺えます。未起隆には自称・宇宙人というプロフィールを不思議に思いつつも、サイコロ役を任せたり…人と打ち解けるのも得意な方なんでしょうね~!
このように露伴と仗助はお互いに違う部分も多い人物です。お金の価値観に関しては互いに理解に苦しみそうなところではありますが、性格的には互いに持っていない部分を持っているからこそ、リスペクト出来る可能性もあるのかもしれません。まあ露伴先生次第だろうけど…
まとめ:仗助と露伴の仲は良くはないが、改善の兆しもあった
仗助と露伴の仲の悪さについて考察してみました。
仲が悪いとされている2人の関係性は、確かに良好なものではありません。しかしお互いを思いやれる気持ちは持ち合わせていた上に、ハイウェイスター戦の後には改善の兆しもありました。
また性格的に違う部分の多い2人ですが、杜王町への愛や正義感など、共通点も見える2人。それらを対立させるのではなく、互いを尊重していけるのであれば、今よりも良い関係になれるのかもしれません。
でもジョセフやシーザーのように仲が悪そうで良いのではなく、本当に仲が悪いからこそ魅力的な関係性でもあるこの2人。ジョジョの中でも唯一無二だからこそ、光る関係性なのかも…
4部の記事はこちらもどうぞ~!