ジョジョの奇妙な冒険3部に登場した花京院典明。承太郎の通う高校の転校生として、緑色の長ランをなびかせて登場しました。
ところで真面目なキャラクターの花京院は、なぜ改造制服である長ランを着ているのでしょうか。考察してみます!
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1. 花京院は本当に転校生だったのか
まず花京院は本当に転校生だったのか、検証してみます。
花京院は承太郎の通学路で初登場しますが、自己紹介としてこんなことを言っていました。
荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』13巻 集英社(79頁)
モンスターエナジーのロゴみたいな前髪してるな。えのきピアスだし。
花京院は同じ高校の転校生だと言っていましたが、これ肉の芽が刺さっていた頃に言ってたことなんですよね~…本当に転校生なのかもしれないのですが、あえて転校生と称して承太郎に近づいたのかもしれません。
さらにスピンオフではありますが、『クレイジー・Dの悪霊的失恋』では、杜王町に花京院の墓の描写があります。この解釈だと、花京院一家は杜王町に住んでいたと考えられそうですね~!
そんな訳で転校生ではなく、杜王町在住疑惑すらある花京院。では一体どこの高校に通っていたのでしょうか。
2. 花京院のぶどうヶ丘高校の学生疑惑
花京院の通っていた高校としてよく挙げられるのが、4部に登場したぶどうヶ丘高校です。
ぶどうヶ丘高校に通う4部のキャラクター達は、みんな制服に個性的で統一感がありませんでした。その中でも花京院の制服は、広瀬康一のものと似ています。
ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない : 広瀬康一(エコーズ) . TOKYO MX, 2016-05-07.(テレビ番組)
花京院と同じく、緑色の学ランに金色の四角いバッジを2つつけていました。真面目な康一くんは改造制服とはちょっと縁がなさそう…と考えると、これが正式な制服のデザインなのかもしれません。
このそっくり具合から、やはり花京院がぶどうヶ丘高校に通っていたことは十分有り得そうです。
3. 花京院はなぜ長ランだったのか
花京院がぶどうヶ丘高校に通っていたと仮定して、なぜ長ランを着用したのでしょうか。メタ的なことを言えば、裾が風になびくのは見栄えがいいし、美しさも花京院にぴったりなんてことが考えられそうです。ポルナレフだったら短ランっぽいよな…
でもここでは時代背景や花京院の心理から、もう少し考察を膨らませてみます。
改造制服が着やすい環境だった花京院
まず改造制服が着やすい環境にあったことが考えられます。ぶどうヶ丘高校自体、制服のルールが緩いですよね。4部のキャラクターもみんな制服のデザインが違うので、厳格な校則ではなさそう。
ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない :「重ちー」の収穫(ハーベスト) . TOKYO MX, 2016-07-30.(テレビ番組)
短ラン、長ラン、卵の殻みたいなやつと、3人とも全然違う…同様に花京院にとっても、制服を着崩しやすい高校だったのではないでしょうか。
さらにこの世界と繋がりがあるとしたら、花京院が高校生の頃はヤンキーファッションが流行った時期にドンピシャ。花京院は1986年から高校に通いましたが、1980年代はビー・バップ・ハイスクールが流行した時代。ファッションも真似されたため、改造制服の店も多かったはずです。
と考えると花京院の長ラン着用は、学校の規則的に長ランに手を出しやすい環境で、時代的な背景にも後押しされた可能性がありそうです。
花京院の盾となった長ラン
次に花京院の長ランが果たした役目について、考察してみます。ヤンキーの代名詞ともいえる長ランは、近づきがたい印象を与えるものですが、花京院はこの性質を利用していたのではないでしょうか。
花京院は「自分と心が通い合う人は現れない」と考えており、友人を作りませんでした。ただ優しい性格なので、学校で人から話しかけられても無下に扱うようなことはしなさそうです。とはいえ友人でもない相手と話すのは、気を遣うし疲れるもの。そこで花京院がとったのが「制服をちょっぴり改造する」という手段でした。
長ランの着用は、怖そうな第一印象を与え、きっと周囲からも「話しかけづらいな~」と思われたはず。ましてや大人しそうなのにガタイはいい花京院が着ていたら、「学校外ではグレてるのかな…」と訝しまれてもおかしくありません。こんなクラスメイトは近寄りがたいし、話しかけるのにもかなり勇気が要るもの。でもこの効果こそ、花京院が狙ったものだったのではないでしょうか。
花京院にとって長ランを着用することは「話しかけるな」というメッセージを発信し、自分を防衛する手段だったのかもしれません。
それでも両親を思った花京院
最後に花京院の両親と、制服の改造度合いについて考察してみます。花京院の制服は、康一くんが着用した制服の丈だけを長くした長ランで、至ってシンプルな改造でした。
このシンプルな改造こそ、花京院の両親への優しさなのだと思います。
ただですら両親に行く末を心配されたことのある花京院。最後の回想シーンでも、両親への謝罪の言葉がありました。
荒木飛呂彦(1992年)『ジョジョの奇妙な冒険』27巻 集英社(151頁)
うっ…孤独だった17歳がこんなこと言うんじゃないよ…切ないわ…
優しい花京院のことなので、両親を必要以上に不安にさせることは望んでいないはずです。盛大な家出はしたけど。
そんな思いやりから、花京院はほどほどな改造にしたのではないでしょうか。ヤンキーっぽさはありますが「流行ってるから」「みんなやっているから」とでも言えば、時代背景的にもギリギリかな…
だって着崩そうと思えば、承太郎みたいに鎖をつけたりタンクトップ着たり出来るはずなんだもの。だけど花京院は1番上のボタンまでキチッと締めていました。
荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』19巻 集英社(36頁)
みんな大好き「なあ~んてね♡」の花京院。後ろの承太郎と比べると、長ランとはいえカチッとしていますね~!
色々思うところがあって着ているけど「決してグレた訳ではない」という彼なりのメッセージなのかもしれません。
ということで、改造度合いの低いシンプルな長ランを選んだのは、花京院なりの優しさの現れなのではないでしょうか。
まとめ: 花京院の長ランは優しさと自己防衛の象徴
花京院が長ランの理由について考察してみました。
ぶどうヶ丘高校に通っていた可能性が高い花京院ですが、制服の改造度合いは決して高いものではありませんでした。そしてそれは、花京院が自分を守りながら孤独と戦った証であり、両親への優しさの表現でもあります。
このように風に考えると花京院の長ランは、彼なりの処世術だったのかもしれません。
なんだよ~切ないよ~~~~この男はいつも泣かせにかかってくるな!!!!
でもそういうところが最高なんだぜ花京院…
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