【ジョジョ4部】透明の赤ちゃんの話の意味から、仗助とジョセフの関係を考察してみた

ジョジョコラム

ジョジョの奇妙な冒険4部に登場した透明な赤ちゃん。後に静・ジョースターと名づけられた女の子でした。

ジョセフと仗助が赤ちゃんの救助に奮闘するストーリーでしたが、今回は透明な赤ちゃんの話の意味を考えつつ、仗助とジョセフの関係を考察してみました。


1. 透明の赤ちゃんの物語の意味

最初に透明の赤ちゃんの物語の意味を、仗助とジョセフの距離感を中心に考えてみます。さて話の冒頭で、仗助はジョセフにこんな宣言をしていました。


荒木飛呂彦(1993年)『ジョジョの奇妙な冒険』34巻 集英社(52頁)

ショックを受けるおじいちゃん。親子とは思えない距離感ですよね~~~~…

その後もジョセフのことを受け入れられないのか、「あんたと会っても母親は幸せじゃない」だの、行き先の違うバスに誤って乗車した際には「北海道まで行けばよかったのに」だのと冷たい対応をする仗助。そして極めつけは赤ちゃんを池に落としてアタフタすれば「あんたはすっころんでなよ」とまで…

なんだか切ない気持ちになってきますが、それでもジョセフが自らを犠牲にしながら赤ちゃんを救出すると、笑顔を見せていました。ジョセフの知恵や思い切りの良さはもちろん、命を張ってまで赤の他人を助けた優しさが伝わったからこそですよね~!お父さん良かったね~~~~!仗助が黄金の精神を持っていたように、ジョセフにもまたそんな精神力があったことで、父親への共感と尊敬の気持ちが生まれたのではないかな~という気がします。

ということで透明の赤ちゃんは、仗助とジョセフの親子関係を縮めるきっかけとなった物語だったのではないでしょうか。短いながらも、2人の関係性に関わる重要な話だったように思います。

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2. 仗助のジョセフに対する思いと透明な赤ちゃんとの関係

次に仗助のジョセフに対する思いと、透明な赤ちゃんの話と絡めて考えてみます。ジョセフを受け入れがたそうにしていた仗助でしたが、ここではジョセフに対する心情と、透明な赤ちゃんの一件での気持ちの変化を考察してみました。

ジョセフの行動に対して純愛タイプの仗助が思うこと

まずはジョセフと母・朋子さんの恋愛に対する気持ちについてです。4部冒頭で、仗助は2人についてこう述べていました。


荒木飛呂彦(1992年)『ジョジョの奇妙な冒険』29巻 集英社(50頁)

母親の行動には納得しているようですが、ジョセフに対しては「気をつかわなくていい」とのこと。東方家は父親不在でも大丈夫だよ~~~という気持ちが感じ取れますが、これちょっとしたジョセフの拒絶なのでは…?

不動産王の遺産相続の話なのに?いいの仗助クン?と聞きたくなりますが、なんせジョセフは朋子さんを妊娠させたきり放っていた訳でね…いくらそのことを知らなかったとはいえ、母親の苦労やジョセフへの涙を間近で見てきた仗助にすれば、良い印象は持っていないはずです。「恨んではない」とは言っていたものの、そんな人に今更来られても…ねぇ…?

しかも仗助は純愛タイプらしいので、まるで遊びのようなジョセフの行動は、ちょっと酷いっスよォ~~!!!!なんて思っていても不思議ではありません。ただジョセフが仗助のいる杜王町に現れたことはもちろん、透明の赤ちゃんの物語の冒頭で遠くからでも朋子さんを見たいと希望していたことは、東方一家への懺悔や、朋子さんとの関係が決して遊びではなかったことを物語っており、それはきっと仗助も感じ取っていたのではないでしょうか。まあ乗り気じゃなかったけど…

さらにジョセフは透明な赤ちゃんの命を、出血大サービス(物理)で救います。他にも不慣れながらも泣き止まそうとしたり、おむつを買いに行ったり…と全力で向き合っていました。その様子を見て、見ず知らずの赤ちゃんにすら一生懸命になれるのだから、もし幼い頃に自分の存在知っていたら、誠心誠意向き合ってくれたのではないか、なんて気持ちを仗助が持った可能性も想像できそうです。

だからジョセフに好印象を持っていなかった仗助ですが、朋子さんを気にかけ、他人の赤ちゃんへの心優しい態度を見せたことで、見直すところも多かったのではないでしょうか。透明な赤ちゃんとの関わりを通じて、仗助のジョセフに対する不信感が解消されていたのかもしれません。

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仗助の家を守っていた良平爺ちゃんとの比較

次に祖父の良平とジョセフに対する仗助の気持ちを比較しながら、気持ちの変化を考えてみます。注目したいのは、良平爺ちゃん死亡後のこの台詞です。


荒木飛呂彦(1992年)『ジョジョの奇妙な冒険』29巻 集英社(63頁)

「おふくろを」「この人の代わりに」という言葉から、良平爺ちゃんが東方家で頼りになる人物であったことが伺えます。それは警官であったことはもちろん、時に片親しかいない仗助の父親代わりの存在だからこそのはず。

だから仗助はどこか抜けているジョセフと、心強い良平爺ちゃんの言動を無意識に比べていたんじゃないかな~…間違ったバスに乗るわ、赤ちゃんを池に落とすわと、父親の頼りにならないところを見せられちゃ「すっころでな」とも言いたくなる訳ですよね~…

でも仗助は、赤ちゃんを救おうと男気を見せたジョセフを見直していました。それはジョセフをいち男として、そして父親として認めた出来事なのではないでしょうか。ボケているように見えても、良平爺ちゃんのようにやる時はやる人だな~なんて思っていたのかもしれません。

だから透明な赤ちゃんの件は、良平爺ちゃんを信頼していた仗助が、ジョセフの頼れる瞬間を見たことで父親として認識するようになった出来事だったのかもしれないですよね~でも最後まで「父さん」じゃなくて「じじい」って呼んでたけど。まあ年も年だしね…

ジョジョの親子関係はいつも複雑なんだよな…

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ジョセフの「カッコつけたかったんじゃよ」の意味

お次はジョセフの「カッコつけたかったんじゃよ」の台詞についてです。透明な赤ちゃんの話は、仗助がジョセフへの質問「見ず知らずの子供になぜここまで…?」に対する回答で幕を下ろします。これね。


荒木飛呂彦(1993年)『ジョジョの奇妙な冒険』34巻 集英社(105頁)

ドヤるお爺ちゃん。かっこいいね~~~~~!!!

この台詞から、ジョセフがいかに仗助を愛しているかが伝わってきますよね~!なんせ息子が大好きだからこそ、かっこいい父ちゃんと思われたい訳で。父親として今まで何もできなかった分、男としてのいいところを見せたいんですよね~誰でもない「おまえの前で」

そして仗助もその気持ちを汲みとったからこそ、ジョセフとの距離が縮まったのではないでしょうか。ジョセフは「お前の前でカッコつけたかった」と告白し、仗助は父親の凄さを認めたように、お互いが自分の気持ちに素直になれたからこそ、近づけたはず

だから透明な赤ちゃんの件を通して、2人は自分の率直な気持ちや相手への尊敬を表すことができたのではないでしょうか。そして最後のジョセフの台詞は、仗助を愛するがゆえ、そして男同士だからこその率直な言葉だったんでしょうね~!

なんやかんやで昔からやる時はやる男なんだよな、ジョセフは…

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荒木飛呂彦(1995年)『ジョジョの奇妙な冒険』40巻 集英社(111頁)

だいぶお近づきになったのでは…?

敬語は使っているものの、露伴が嫌いと愚痴るわ、赤ちゃんの世話まで一緒に見ているようだし…しかもストレスで透明になる赤ちゃんが、実体を見せたままなところを見るに、2人には安心感を抱いているのかもしれません。

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そして極めつけは4部のラストシーン。ジョセフは「この町の若者は黄金の精神を持っている」「誇り高き息子」仗助に絶対的な信頼を置き、東方一家の幸せを願いながら帰国します。一方の仗助は…

荒木飛呂彦(1996年)『ジョジョの奇妙な冒険』47巻 集英社(63頁)

さては君もお調子者だな???一杯食わせるところがジョセフの遺伝っぽい。

なんということでしょう、あんなに気まずかった関係が見違えるほど仲良しになっているではありませんか…!そして仗助の別れの言葉がこちら。


荒木飛呂彦(1996年)『ジョジョの奇妙な冒険』47巻 集英社(63頁)

いいよなあ、このシーン…ジョセフを元気よく送り出していますが、レッド・ホット・チリ・ペッパー戦の仗助には見られなかった表情ですよね~!あれだけジョセフと会うことを面倒くさそうにしていたのに…

2人がここまでの関係となったのは、やっぱり透明な赤ちゃんの一件でジョセフは赤ちゃんに真摯に向き合い、仗助も父親の良さに気づいたからこそ。透明な赤ちゃんは4部の核心に迫る話ではなかったとはいえ、その後の展開を大きく変えた事件だったのではないでしょうか。

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3. ジョセフが仗助のもとに現れた理由

仗助とジョセフの関係に関連して、最後にジョセフが仗助のもとに現れた理由を考えてみます。

ジョセフの来日の目的は、レッド・ホット・チリ・ペッパーの本体を見つけ出すためでした。でも来日するとなれば、ジョセフの頭には当然仗助のことがよぎる訳で…承太郎が仗助に殴られることを覚悟していたように、ジョセフも責められると思っていたはずです。しかも仗助の気持ちをすっっっごい気にしてますよね~…ほら…


荒木飛呂彦(1993年)『ジョジョの奇妙な冒険』34巻 集英社(30頁)

この直前に「仗助はどこかの~?」と気にしていたので、息子と会えるのは嬉しいはず。でもそれはジョセフの片思いだと悟ってちょっと寂しくなっちゃったんだろうな…放っておいた自覚はあるみたいだし…

それでも来日を決めたのはスタンドを使うため、そして自分が父親と最後まで会うことが叶わなかったからなのかもしれません。父親の顔を知らない寂しさを知っているからこそ、一度は顔を見せておきたいというジョセフの希望があったりして…あとは存在に気づかなかった仗助への懺悔の気持ちもあって、会いに来たとかね。

しかもジョセフは体が老いており、遺産の話が出るくらいなので、自分にいつ何が起きてもおかしくないとは思っていたはず。だからこそ動けるうちに後悔なきよう、仗助たちに会っておきたいと余計に思っていたのかもしれません。

たとえぶん殴られようが怒鳴られようが、それでも父親の顔を見せないままではいられない。それはエゴ的なところはありつつも、父親を知らないジョセフなりの思いやりでもあるのではないでしょうか。しかしなんやかんやで丸く収まって良かったよな~!財布はとられたけど。でも不動産王だからね…こんなのはした金なんよ…

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母親不在だったジョセフと透明な赤ちゃんの救出の関係

ジョセフの親の話が出たので最後に少しだけ…ジョセフと母親との関係から赤ちゃんを助けた理由を考えてみます。

透明な赤ちゃんは、最終話で「見つからなかった」と説明されていました。念写能力を持ったジョセフでも見つけられなかった、ということは吉良に殺されている可能性が高そうですよね~…

で、ジョセフは透明になった理由を「母親がいないことで精神的なストレスを受けている」と発言していましたが、自分も小さい頃に実の母親がいなかったのでそのストレスは痛いほどわかるはず。だから赤ちゃんとはいえ、放っておけなかったのかもしれません。

複雑な生い立ちだからこそ、他人にも優しかったのであろうジョセフ。赤ちゃんの救出まで試みる思い切った言動は、片親で育った仗助もまた共感するところがあったのかもしれません。

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まとめ:透明の赤ちゃんの一件はジョセフと仗助の親子の距離を縮めた出来事

透明な赤ちゃんの一件から、ジョセフと仗助の人間関係を考察してみました。

2人の距離が縮まるきっかけとなったこの一件でしたが、関係性が好転したのはお互いの行動力、そして人間性があったからこそだったのではないでしょうか。

しかし透明な赤ちゃんがいなかったらどうなってたんでしょうね~けっこう気まずいままジョセフが杜王町を去っていた可能性もありますよね~…う〇こされたり出血したり色々と大変でしたが、この件があったのは結果的に良かったよな…!

4部の話はこちらもどうぞ~!

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