ジョジョの奇妙な冒険5部に登場したリゾット・ネエロ。シチリア島(原作ではシシリー表記)出身の暗殺チームのリーダーでした。
今回はリゾットの人物像やスタンドと、シチリア島の文化や歴史との関係を考察してみました。
1. リゾットとシチリア島のマフィアとの関係
まずはリゾットとマフィアとついてです。映画などの影響もあり、シチリア島といえばマフィアのイメージがありますよね~!現在でも数は減ったとはいえ現役のマフィアは活動しているそうですが、このマフィアの精神はリゾットと共通点が多いようで…
そのひとつがマフィアの行動規範である「オメルタ(沈黙の掟)」。法や警察に頼らず情報を漏らさず、身内だけで解決する姿勢です。後述しますが人々の結束力の強いシチリア島では、身内が不名誉な扱いを受けた時にオメルタの精神が発動され、法の外での復讐といった形でその名誉を挽回してきたのだとか。
そんなオメルタはリゾットのスタンドとも繋がりますよね~!オメルタのように情報を語らず、証拠も残さず…というのはメタリカが相手の気づかぬうちに攻撃し、保護色となり透明化して姿を隠す様子を彷彿とさせるところ。シチリア島出身らしい能力なのでは…?

リゾットの疑似家族だった暗殺チーム
暗殺チームとシチリア島との関係についても考えてみます。プロシュートとペッシの舎弟関係、メローネに「頼りにしてる」と語るギアッチョなど、暗殺チームは団結力が感じられましたよね~!それは身内の結束力が強いシチリア島育ちのリゾットが率いた影響も考えられるのではないでしょうか。
強い結束力の誕生には島の長~~~い歴史が関係しているようで…アラブ諸国、スペイン、ギリシャなど様々な国から長年の支配を受けたシチリア島。中央政府の力が及ばず支配者にたびたび生活を脅かされてきた島民は、次第に自分たちでルールを作り、強い連帯意識を持ちながら互いの身を守るようになったのだとか。裏社会で問題解決をするマフィアやオメルタの発祥も、こんな歴史が背景にあるそうです。
そんな国家や法律に頼れない環境で島民が信じたのが、安全や経済を共有し、血縁である家族の存在でした。マフィアはその精神を発展させて血縁関係ではなくとも家族としてみなすようになり、組織の絆を強力に結ぶ口実として利用するようになりました。オメルタの重視や裏切りが重罪なのも、家族への背信行為はアウト!とみなされたからであり、マフィアからの脱退も簡単ではなかったのだとか…
このシチリア島の精神や歴史をもとに、アニメ版のソルベとジェラートの葬儀で最後まで残った姿をあらためて見てみると…
ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風:暗殺者チーム. TOKYO MX, 2018-12-08.(テレビ番組)
シチリア島出身だからこそ、組織の裏切りの重さを誰よりも理解していたであろうリゾット。裏切り行為は処罰されるのは当然だ、それでも「家族」を失ったことはあまりにも悲しい…そんな矛盾した感情が巡っていたんじゃないかな~…切ない…
リゾットがひとりになってもなお、最後までボスの正体を追い続けたのは、彼にとって暗殺チームこそがパッショーネよりも信じられるコミュニティと考えていたのではないでしょうか。結束力の高さが光る暗殺チームですが、リーダーのリゾットが疑似家族のように捉えていたからこそ生まれた絆なのかもしれません。

2. シチリア島の宗教とリゾットとの関係
次にシチリア島の宗教との関係についてです。様々な国に支配されてきた歴史があり、イスラム教、ユダヤ教などの影響も見ることができるシチリア島ですが、現在はカトリック信仰が最も強く根付いています。カトリックで思い出すのが、アニメ版におけるソルベとジェラートの葬儀のこのシーン。
ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風:暗殺者チーム. TOKYO MX, 2018-12-08.(テレビ番組)
こちらの元ネタと考えられるのが、システィーナ礼拝堂の天井画の「預言者ヨナ」の場面です。
Di Michelangelo Buonarroti - Web Gallery of Art: Immagine Info about artwork, Pubblico dominio, Collegamento
システィーナ礼拝堂があるのはカトリックの総本山のバチカン市国。葬儀はシスティーナ礼拝堂ではなく、よりシンプルな場所で行われていたようですが、葬儀場所はカトリックの教会で、カトリック信仰が強い土地で生まれ育ったリゾットが選んだという設定のシーンだったのかもしれないよね。

リゾットとシチリア島のブラック・マドンナ信仰の関係
またシチリア島で強く信仰されているのが、「ブラック・マドンナ(黒い聖母)」です。ブラック・マドンナとは肌が黒い聖母マリア像やイコンのこと。例えばこちらはシチリア島のティンダリ大聖堂のブラック・マドンナ像ね。
Di Clemensfranz - Patti, Provinz Messina, Sizilien, Tindari, die schwarze Madonna in der Wallfahrtskirche, CC BY 2.5, Collegamento
「Nigra sum sed formosa」の碑文は「私は黒い、しかし美しい」の意味。黒色なのは、経年による変色やイスラム圏やアフリカとの交流による肌色表現への影響のほか、苦しみや代位の象徴など様々な理由が考えられるも真相はいまだ謎に包まれています。
そんなブラック・マドンナは、各国での戦火や略奪から逃れてきたことから、奇跡を起こす力が強いと信じられ、シチリア島ではブラック・マドンナ関連の祭りが行われるなど、今日まで島民の支持を集めてきました。リゾットが黒をまとうのも、ブラック・マドンナ信仰が身近であったことや、彼自身が「難しい状況でもどうにかチームを救いたい」と苦しみを抱えながらも奇跡を祈り続け、加護にあやかりたいという考えているからなのかもしれません。

3. シチリア島の食文化とリゾットとの関係
最後に食文化についてです。まずリゾット・ネエロはイカ墨リゾットのことを指しますが、海に囲まれたシチリア島ではパスタやリゾットにイカ墨が使われます。血液に関するスタンド能力から連想できるのは、シチリア名産のブラッドオレンジ。果肉が赤いオレンジで、直訳は血のオレンジとメタリカを彷彿させるのではないでしょうか。
また各国からの支配を受けたシチリア島は、アラブ諸国のスパイス、スペインのトマト、ギリシャのオリーブ…と、様々な国の食材がもたらされ、これらを用いて独自の食文化を築きあげてきました。例えばシチリア島の代表的な野菜の煮込み料理のカポナータに茄子、スパイスや砂糖を加えられるのは、アラブ諸国の食材や味つけに影響を受けたのだとか。これがカポナータね。
Di El Mono Español - Opera propria, CC BY-SA 4.0, Collegamento
美味しそ~~~~!思わずパンに塗りたくなりますが、この海外の食材を独自の食文化に変質させる様子は、メタリカの鉄分を刃物などに自在に変える能力を思い出すところ。個性豊かな暗殺チームのメンバーを上手くまとめあげていたのも、シチリアという各国からの文化が交わる土地で育っているからこそだったりして…!?

リゾットのメタリカはシチリア島のワイン由来!?
最後にワインについても少しだけ…シチリア島のワインの生産地として有名なのが、エトナ山。現在も地下でマグマが煮えたぎる活火山で、長年蓄積された溶岩、火山灰、火山礫が風化した土壌に、酸化鉄が凝縮されています。この土壌の鉄やミネラルをブドウの根が吸い上げ、シチリア島独自のワインの味わいを作り出しているんですよね~!
代表的な赤ワインの品種は、赤は鋭い酸と鉄分が特徴的なネレッロ・マスカレーゼ、白は酸とミネラル由来の塩味を感じるカリカンテなど。ネレッロ・マスカレーゼの「ネレッロ」はネエロ(=黒色の意味)に由来する単語で、メタリカ食らった!?と思うほど強烈でシャープな鉄の味を感じられます。赤白どちらも超~~~~~美味しいのでぜひ…!
スタンドが精神の具現化であるなら、メタリカはリゾットのアイデンティティそのもの。鉄分に関する能力は、いとこの子供の事故や復讐で流れた血のほか、故郷への強い思いが隠れているのかもしれません。

まとめ:リゾットとシチリア島の歴史、文化と強い関係があるのでは
リゾットとシチリア島の関係を考察してみました。マフィアの精神、家族への信頼や団結など、リゾットの復讐や暗殺チームとの関わり方に大きな影響を及ぼしているのではないでしょうか。
宗教や食べ物も黒を基調とした服装や名前、スタンドと共通点がありますよね~!温かな気候の中で育ちながら、研ぎ澄まされたシャープさが感じられるのは、シチリア島出身ならではなのかもしれません。
個性豊かな暗殺チームの皆さんの話いろいろ




参考文献
小森谷慶子、小森谷賢二(2008年)『シチリアへ行きたい』新潮社
藤澤房俊(2009年)『シチリア・マフィアの世界』講談社
Consorzio di Tutela Vini Etna DOC「Terroir」https://thewinesofetna.com/terroir/(2026年4月6日確認)
Joe Baur「Caponata alla giudia: Sicilian aubergine and vegetable stew」BBC https://www.bbc.com/travel/article/20230421-caponata-alla-giudia-sicilian-aubergine-and-vegetable-stew(2026年4月6日確認)
Sanctuary Madonna del Tindari「History」https://santuariotindari.it/storia/(2026年4月6日確認)








