ジョジョの奇妙な冒険5部に登場したメローネ。独特なキャラクターとスタンドが特徴的でした。
そんなメローネにベイビィ・フェイスが発現したのはなぜなのでしょうか。今回はスタンドとメローネの過去や性格との関係について考察してみました。
※性的な暴力の話があります
1. メローネの過去とベイビィ・フェイスの関係
最初にメローネの過去とベイビィ・フェイスの関係について考察してみます。悲惨な過去を想像しようとすればいくらでもできそうなメローネですが、ここではスタンド能力やジョルノとの比較から生い立ちを想像してみました。
メローネのベイビィ・フェイスと生い立ちとの関係
まずはメローネのベイビィ・フェイスと生い立ちの関係についてです。さてベイビィ・フェイスは母親を怯えさせながら受胎させる、父親を探し出す、分解して物質化するという能力がありましたが、これらよりメローネの過去の親子関係を想像してみると…
例えばメローネは合意のない行為の末に生まれた子供とかね。ベイビィ・フェイスの親は母親となる女性に対し、何やら恐ろしい行為を行っていたようですが、これはメローネの母親が暴力的な行為を受けたゆえだったりして。エグすぎる。
もしそうであれば、ベイビィ・フェイスに父親を探せる能力がついているのも腑に落ちる気がします。しかもその男性を分解したり殺すこともできる訳だからな…もしやメローネって過去に父親をバラバ(自主規制)。いずれにせよ男女関係のあり方や、父親に対する複雑な感情が、スタンドに反映されているのかもしれません。
あとはメローネが母親を無理矢理、というパターンもありますよね~…こちらはベイビィ・フェイスの親が女性を怖がらせて受胎を行うことはもちろん、生物を物体にする能力とも関連づけられそうです。なんせ物体化は人間を黙らせ、身動きを取れなくするために有効な手段でもある訳だからな…行為中に騒がれないように気をつけていたことが由来とかね。
考えるほどに複雑な過去を抱えていそうなメローネですが、母親に恐怖を与えながら子供を生み出し、父親を追いかけ、物体にするスタンドは、そんな生い立ちや心情と関係があるのかもしれません。ヘヴィすぎる…
そういえばリーダーの過去もエグいよねという話。
ベイビィ・フェイスの子供とメローネとの関係
次にベイビィ・フェイスの子供と、メローネとの関係を考えてみます。さてベイビィ・フェイスの子供は母親を犠牲にしており、最終的に親代わりとなるのはメローネだけでした。そのメローネは子供のスタンド能力についてこう述べています。
荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』54巻 集英社(45頁)
ここで注目したいのは「手間がかかる」という表現ですが、確かにベイビィ・フェイスってちょっと面倒なスタンドですよね~…それでもそんな能力が発現したのは、子供にはメローネが両親から愛情を注いで欲しかった姿が投影されており、メローネが親代わりとなって子供に手間をかけるように、彼も親から手をかけてもらいたかった願望があるのからなのかもしれません。ディ・モールト切ない。
そしてもうひとつ、「息子」という表現も気になります。ベイビィ・フェイスが「娘」を生み出すかは不明ですが、もし生まれてくる子供が全て「息子」だとしたら…やはり子供にはメローネ自身が投影されている可能性が高いのではないでしょうか。生まれてきた息子もディ・モールトって言葉を使ってたしな~…
しかもさ、ベイビィ・フェイスの子供って母親を分解していたじゃないですか。ってことはもし息子がメローネを基にした姿なら、メローネってもしや母親もバラバ(自主規制)。まさかの両親ともにやっちゃってる…?えぇっ…?
このようにスタンドとメローネの過去を考えると、子供スタンドにはメローネ、それを教育するメローネには彼の理想の両親像が投影されていたなんて想像ができそうです。荒木先生は各キャラクターに詳細なプロフィールを設定するそうですが、メローネって実は相当暗い設定だったのでは…?
そういえばスティッキー・フィンガーズもバラバラにできるよな…
ジョルノとメローネのスタンドの比較から見える過去
今度はジョルノと比較しながら、メローネの過去を考えてみます。さてベイビィ・フェイスとゴールド・エクスペリエンスは生命と物体に関する点で似ており、「物体に生命を与える」「生物を物体化する」という点では真逆の能力でした。で、もしスタンドが個人の内面や過去を反映しているとすれば…能力の種類の近さからは、メローネもジョルノのように悲惨な幼少期だった可能性が、命を与えるか奪うかという真逆の方向性からは、2人の性格の違いが見えてくるのではないでしょうか。
ということで、スタンド能力を比較してみると…メローネはその都度母親を選んで何度も子供を作り替え、父親を探し、生物を分解して物体化することができました。この能力からは母親を選びたかった、メローネも親の理想に沿えるような姿に変わりたかった、父親に会いたかった、他人を物理的に分解したいほどの殺意があった、といった過去や願望が想像できそうです。
一方で育児放棄や虐待を経験し、どこにも居場所がなかった幼少期のジョルノに発現したのは、物体に生命を与える能力でした。これは名も知らぬギャングを庇ったように自分の存在を隠したり、言葉は通じなくとも心を癒せる動植物を生み出したかったからなのかもしれません。
だから両者のスタンドに過去や内面が反映されているとすれば、メローネもやはり両親との関係に問題がありそうなんですよね~…ただ分解や物体化ができるあたり、ジョルノよりも憎悪の念が強そうで…このあたりの性格の違いは、ブチャラティとともに若者を蝕む麻薬撲滅を目指すか、暗殺チームに所属するかの分かれ目となっているのかもしれません。
物言わぬ物体から言葉や愛情を持つ生命を生み出すジョルノと、生命を物言わぬ物体にしてしまうメローネ。似ているようで真逆の能力を持つ2人は辛い過去を持ちつつも、親に対する微妙な感情の違いがあり、能力に影響しているのではないでしょうか。悲しい過去を背負うキャラクターがたくさんいる5部だからな…メローネにも色々あったのかもな…
2. メローネの性格とスタンド能力との関係
次にメローネの過去ではなく、性格がスタンドに反映されているという体で、能力との関係を考えてみます。さて母親の素質が遺伝し、教育により子供の言動が変わるベイビィ・フェイスですが、この能力を使いこなして理想の子供を育て上げるには、かなりの経験値が要求されるのではないでしょうか。
恐らくメローネはスタンドを何度も使いながら、理想の子供を作り出すために必要な要素を覚えていったはずです。例えばメローネは母親の性格、血液型、誕生日、嗜好品の摂取などが重要だと発言していました。薬物はブチャラティが嫌うことが理由と思われますが、これらの相性の悪さが重要ということは、メローネが何度も子供を生み出すうちに蓄積されたデータではないでしょうか。母親選びに子供の教育、指示の出し方などを迷いなくスムーズに行っていたのも、過去に多くの子供を育てた経験から学んだゆえなのかもしれません。
そして母親となった女性がバラバラにされた後のメローネを見てみると…
荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』54巻 集英社(43頁)
「早すぎる」「まだだって」と焦るところを見るに、母親が死亡する平均的な時期を知っているようですが、こんなところも長年の経験ゆえっぽいですよね~…
どうやら豊富な経験値とデータを駆使してスタンドを操っているらしいメローネですが、ここではそんなメローネの性格について詳しく考察してみました。
やたらややこしい5部のスタンドの話はこんなのもあります。
マッドサイエンティストな気質のメローネ
メローネの性格について、子供を完成させるために使う労力に注目しながら考えてみます。
さて膨大なデータと経験が必要であろうベイビィ・フェイスですが、子供の誕生から死亡までの流れを想像してみると…恐らくメローネは「母親を選ぶ→子供に教育して指示する→その結果を観察する→再び指示、観察するを繰り返す→子供の死亡後は一連の過程を反省し、次回以降の母親選びと教育に生かす」というプロセスを繰り返しているはずです。なんだか理科の実験のようですが、理想のためにこれを反復しているとすれば、メローネには忍耐力や分析力があると言えるのではないでしょうか。
そしてメローネはこの面倒な過程が嫌いではないはず。だって見てよ、母親のデータを打ち込んでいる時の姿勢…
荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』54巻 集英社(21頁)
前のめりすぎんか???目悪くなっちゃう…
母親が理想的過ぎたことがよほど嬉しいのか、子供の性格に期待が高まっているのか…とにかくなんだか夢中になっているご様子。きっと厄介なスタンドを扱うのが楽しくてしょうがない、凝り性な性格なんでしょうね~!
そしてちょっと気になったのが、ホルマジオがレストランで能力を披露するアニメ版のワンシーンです。子供スタンドを生み出す必要のない場面でしたが、メローネは女性の足首を品定めするように観察していました。その時の表情がこれ。
ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風:暗殺者チーム. TOKYO MX, 2018-12-08.(テレビ番組)
全てを物語るペッシの顔よ…
汗を流してドン引きする3人をよそに、笑いを抑えられないメローネ。足首がメローネの好みのパーツとも考えられますが、あのスタンド能力と性格だからね…「母親に向いていそうだな~」「どんな子供ができるかな~」なんて想像している可能性が高いのでは…?全ての女性が被験体に見えちゃうんだろうな~…本当に実験好きなのね…
このように手間がかかるスタンドが発現したのは、メローネの性格が根気強く、分析力もあり、実験的なプロセスを楽しめるからなのかもしれません。そして女性に対して犠牲にすることへの罪悪感を感じるどころか、嬉々として接する姿は、マッドサイエンティストのようでもあります。この人、けっこうサイコパスでは…?
そういえば言葉尻にまでキレていたギアッチョが「信頼している」と発言していましたよね~!このあたりは両者とも「根掘り葉掘り」追求しないと気が済まない、似た者同士なところがあるからこそだったりして…
3. ベイビィ・フェイスに関するその他の考察
最後にベイビィ・フェイスについて、その他気になったことをまとめてみました。まずはこちらのページを見てみます。
7荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』54巻 集英社(27頁)
アンタそれ夏服?秋服?と聞きたくなるような季節感が難しい服装でしたが、注目したいのは二重丸の模様です。これ、ベイビィ・フェイスのパソコンに映り込んでいる卵子にそっくりですよね…ヒィッ…また出産までの秒数について、原作では「受胎完了」後に「3分03秒」からカウントが始まりました。こちらは妊娠期間の数字としてよく使われる「十月十日」のオマージュじゃないかな~…
そしてベイビィ・フェイスは小さな立方体状にして分解する能力を持っていましたが、こちらは映画の「ヘル・レイザー」や「トータル・リコール」の顔の表現なんかが元ネタではないでしょうか。ちょいグロですが、気になる方はぜひ検索を…
メローネとプロシュートの名前とスタンドとの関係
次に暗殺チームのプロシュートとの関連を考えてみます。さてメローネはイタリア語でメロン、プロシュートは豚もも肉のハムの意味だそうですが、イタリアでメロンとハムと言えばこれを思い出しますよね~!
花京院がメロ~~~ン!!!
花京院はさておき、こちらはメロンに生ハムを添える食べ方で、メロンの青臭さを生ハムで消すために生まれたそうです。しょっぱさ、甘さの際立つ真逆な味わいの食材の名前を冠する2人ですが、スタンドを比較してみると…
まずメローネのベイビィ・フェイスは子供を生み出し、成長させることができる一方で、プロシュートのザ・グレイトフル・デッドは老化させると正反対の能力を持っています。さらにベイビィ・フェイスは特定の女性一人が犠牲になるのに対し、ザ・グレイトフル・デッドは無差別なんてところも、まるで対比されているよう…!
他にもペッシとコンビのプロシュートに対し単独行動するメローネなど、甘いメロンとしょっぱい生ハムのように正反対なこの2人。荒木先生が意図的に正反対にしていたのかな~と思うと、ちょっと面白いところではないでしょうか。
ベイビィ・フェイスの親が女性に行った行為の正体
最後にベイビィ・フェイスの親が女性に行った行為を考察してみます。ベイビィ・フェイスの親が逃げる女性に近づき、受胎に必要な行動をしていたようですが、その中身について詳しい描写はありませんでした。このシーンね。
荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』54巻 集英社(25頁)
なんだか恐ろしいことが起きているようですが、このコマからベイビィ・フェイスの行動を推測していきます。注目したいのは「ガオオン」という効果音です。
さてジョジョではこれに似た効果音で「ガオン」が登場しました。ヴァニラ・アイスのクリームがアヴドゥルの体を暗黒空間に飲み込んだシーンや、億泰のザ・ハンドの右手が削り取る動作で使われており、両者の能力は攻撃対象をこの世から消滅させるという共通点があります。
で、もし効果音が近いベイビィ・フェイスも、2人と同系統の攻撃を行って受胎しているとしたら…女性の肌など体の一部を消し去り、卵子や卵巣を取り出していたのではないでしょうか。そして除去した部分は肌同士を縫いつけたり、新たなパーツを補いながら痛みを感じなくなるように治し、受胎が完了した子供スタンドは女性の背中辺りに取りつけていたとかね。
しかも被害を受けた女性は股の周りを触って痛みや傷を確認していたものの、腹部は未確認でした。
荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』54巻 集英社(25頁)
もしベイビィ・フェイスが本当にこんな能力だとすれば、股を触っただけでは被害はわからないはず。服を脱いだ時なんかに初めて気づくんじゃないかな~という気がします。あるいは傷すら残さない能力で、女性は気づきようがないという可能性も…
このようにベイビィ・フェイスの親の行動を効果音から推測すると、女性の一部をガオンした上で、必要な細胞や臓器を取り出していたとも考えられるのではないでしょうか。なにこのスタンド、こっわ…
まとめ:メローネのベイビィ・フェイスは、暗い過去や凝り性な性格を想像させるのでは
メローネの過去とベイビィ・フェイスとの関係を考察してみました。
ジョジョの中でも個性的なスタンドでしたが、親と子、物体にするなどの能力からは、メローネの暗い過去を想像させるのではないでしょうか。うっ…悲しい…その一方で、凝り性で頭脳派な性格がスタンドにも反映されたなんて考え方もできそうです。なんだただの変態か。
解釈次第でかなり印象が変わるキャラクターですが、いずれにせよ5部の中でもかなりパンチ力があるひとりですよね…服装もユニークだし、ビンタされてもめげないし、血液型の味もわかるし。舌芸使いの宝庫すぎるジョジョ。
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